-Wa- Japan Web Magazine

陶器

日本の有名な陶芸20選|体験・購入できる場所も紹介

陶芸は、日本を代表する陶磁器の芸術です。
全国各地で独自の陶芸が発展しているため、日本へ訪れれば様々な種類の陶芸に触れることができます。
陶芸品の観賞だけでなく、実際に陶芸を体験したり、陶芸品を買ったりすることも可能です。

この記事では、日本陶芸の概要と各地域の有名な陶芸を紹介しています。読めば、日本の陶芸について詳しく分かります。最後に日本陶芸を体験できる場所と日本の陶芸品を買える場所も紹介していますので、興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

日本陶芸の概要

日本陶芸は、約4,000年前から始まっていたといわれています。日本には様々な伝統芸術がありますが、陶芸はその中でも非常に古い歴史を持つ芸術です。
日本陶芸では、主に以下3種類の作品が作られます。各地域で発展している陶芸によって、作られる種類が異なります。

  1. 陶器(とうき)
    ガラス質の素材と有色の粘土を原料とする。
    焼き上がりに土の色味と厚みが生じるのが特徴。
  2. 磁器(じき)
    ガラス質の素材と白色の粘土を原料とする。陶器よりガラス質の素材の配分が多い。
    一般的に表面が白色で、鮮やかな模様が描かれるのが特徴。
  3. 炻器(せっき)
    陶器と磁器の中間的な器。原料となる粘土には鉄分が多く含まれる。
    焼き上がりは、一般的に茶褐色や黒褐色になる。

このような陶芸品を、日本人は料理や飲み物を引き立てるのに活用します。
日本の陶芸品は、色や模様などの表情がとても豊かです。陶芸品に盛られた料理や飲み物は、一般的な食器と比べると美味しく見えます。
生け花(日本の伝統的な花の芸道)や自宅のインテリアに、陶芸品を活用する日本人も多いです。生け花はとてもシンプルな見た目なので、陶芸品に花を生ければ華やかに見せることができます。インテリアとして陶芸品を飾れば、生活空間も彩ります。
日本の陶芸品は、様々なシーンで日本人に愛されているのです。

有名な日本陶芸20選

前述した通り、日本では全国各地で独自の陶芸が発展しています。各地域の陶芸の名前は、「地域名+焼(やき)」と表現されるのが一般的です。
各地域の陶芸には独自の色や模様の付け方や焼き方があるため、1つ1つ違った表情があります。

ここでは、数ある日本陶芸の中でも特に有名な種類を紹介します。

益子焼(ましこやき)/栃木県

益子焼は、栃木県芳賀郡益子町で盛んな陶芸です。今から約170年前に誕生しました。
益子焼では、陶器が作られます。原料は砂気が多いため、焼き上がりは厚みが生じ、ふっくらと仕上がります。装飾も素朴であるため、温かみを感じられます。

益子焼の作品は、料理を盛るのに適しているといえます。素朴な見た目のため、どんな料理にも合わせやすいのです。普段使っている食器を益子焼の食器に変えれば、食卓も温かい印象になるでしょう。

【益子焼を見られる施設の例】

九谷焼(くたにやき)/石川県

九谷焼は、石川県の南部地方で盛んな陶芸です。今から約360年前に誕生しました。
九谷焼では、磁器が作られます。作品の特徴は、装飾が色鮮やかなところです。一般的に赤と青、黄、紫、紺青(こんじょう:紫色を帯びた暗い青色)の5色で模様が施されます。この5色を使った装飾は作品の全体に描かれるので、見た目はとても華やかです。

華やかな装飾のため、日本人の中には九谷焼の作品をインテリアとして部屋に飾る人もいます。

【九谷焼を見られる施設の例】

越前焼(えちぜんやき)/福井県

出典:PR TIMES

越前焼は、福井県の越前町で盛んな陶芸です。約850年前から作られている陶芸です。
越前焼では炻器が作られます。作品の焼き上がりは茶褐色になることが多く、とても引き締まった印象に仕上がります。

耐水性が高いという性質もあるため、越前焼で作られるのはお酒やお茶など飲み物を入れる器が多いです。

【越前焼を見られる施設の例】

美濃焼(みのやき)/岐阜県

美濃焼は、岐阜県の南東部にある東農と呼ばれる地域で盛んな陶芸です。
美濃焼では陶器が作られます。作品の特徴は、デザインが多種多様であることです。多種多様なデザインを持つ美濃焼の中でも、日本人に知られているのは「織部(おりべ)」です。織部には、ゆがんだ形や幾何学的な模様など斬新なデザインが施されています。織部のようなデザインは、他の陶芸ではあまり見られません。

多種多様なデザインがある美濃焼の作品は、使うシーンに合わせて選べる作品といえます。

【美濃焼を見られる施設の例】

信楽焼(しがらきやき)/滋賀県

信楽焼は、滋賀県甲賀市信楽町で盛んな陶芸です。
信楽焼では、炻器が作られます。複数の素材を組み合わせた原料が使われるため、信楽焼では大型の置物や器が作られることが多いです。たとえば日本で頻繁に目にする狸の置物の多くは、信楽焼の作品です。

信楽町に行くと、町中で信楽焼で作られた作品を多く見ることができます。近くを観光することがあれば、立ち寄って鑑賞してみるのも楽しいでしょう。

【信楽焼を見られる施設の例】

瀬戸焼(せとやき)/愛知県

出典:PR TIMES

瀬戸焼は、愛知県瀬戸市で盛んな陶芸です。約1,000年以上の古い歴史を持ちます。
瀬戸焼は、陶器と磁器の両方を作る陶芸として有名です。日本陶芸の多くは、陶器か磁器、あるいは炻器のいずれかのため、両方作る陶芸は珍しいといえます。
瀬戸焼の陶器は、渋みのある深い色合いが特徴です。作られるのは、食器や茶道具といった食卓で使う器が多いといえます。瀬戸焼の磁器は、「呉須(ごす)」と呼ばれる青色が美しい顔料を使った装飾が特徴です。作られるのは、インテリアや花器などが多いといえます。

瀬戸焼の陶器と磁器を見比べるのも面白いかもしれません。

【瀬戸焼を見られる施設の例】

常滑焼(とこなめやき)/愛知県

出典:PR TIMES

常滑焼は、愛知県常滑市で盛んな陶芸です。瀬戸焼と同様、約1,000年以上の歴史を持ちます。
常滑焼では、陶器が作られます。原料には鉄分を多く含んでいるため、焼き上がりは赤みを帯びていることが多いです。
常滑焼の代表的な作品は「急須(きゅうす)」です。急須とはお茶を注ぐための道具で、ティーポットのようなものです。原料に含まれる多くの鉄分がお茶の苦みを和らげるといわれるため、常滑焼では急須が多く作られるのです。

日本のお茶を美味しく飲みたいのであれば、常滑焼の急須を買うのも良いかもしれません。

【常滑焼を見られる施設の例】

萬古焼(ばんこやき)/三重県

出典:PR TIMES

萬古焼は、三重県四日市市で盛んな陶芸です。
萬古焼では炻器が作られます。耐熱性に優れているため、萬古焼の作品の多くが急須や土鍋などの耐熱器です。特に、萬古焼の土鍋は日本で非常に有名です。日本国内に流通している土鍋の約70~80%が萬古焼といわれています。このため、日本人の間でも「土鍋といえば、萬古焼」というイメージが定着しています。

温かさが続く鍋料理を作りたいのであれば、萬古焼の土鍋を買ってみるのも良いかもしれません。

【萬古焼を見られる施設の例】

伊賀焼(いがやき)/三重県

出典:PR TIMES

伊賀焼は、三重県伊賀市で盛んな陶芸です。
伊賀焼では陶器が作られます。耐熱性に優れているため、萬古焼と同様、伊賀焼の作品の多くは土鍋です。伊賀焼の土鍋は、一般的に萬古焼と比べると力強い形が多く、土の風合いを十分に感じられます。

萬古焼と見比べてみると面白いかもしれません。

【伊賀焼を見られる施設の例】

清水焼(きよみずやき)/京都府

出典:PR TIMES

清水焼は、京都府京都市で盛んな陶芸です。
清水焼では、磁器が作られます。作品の特徴は、全て手作業で器が作られることです。他の陶芸は、作品を多く生産するために一部の工程で機械が使われることがありますが、清水焼に関しては機械は使われません。描かれる模様は、桜や松など日本絵画に登場するものが多いといえます。

手作りならではの温かさと日本らしさを感じられるのが、清水焼の魅力です。

【清水焼を見られる施設の例】

樂焼(らくやき)/京都府

出典:PR TIMES

樂焼も京都府京都市で盛んな陶芸です。約400年の歴史を持ちます。
樂焼では、陶器が作られます。作品のほとんどは茶碗です。もともとお茶を飲むための陶芸品として発展したため、その名残が現在にもあります。樂焼も全ての工程において手作業で作られます。左右が非対称であったり、わずかにゆがんでいたりしますが、こうした不完全なデザインが樂焼では美しいとされています。

ティータイムのとき樂焼の茶碗でお茶を飲めば、その場の雰囲気を日本らしく変えられるかもしれません。

【樂焼を見られる施設の例】

丹波立杭焼(たんばたちくいやき)/兵庫県

出典:PR TIMES

丹波立杭焼は、兵庫県篠山市の今田地区で盛んな陶芸です。
丹波立杭焼では陶器が作られます。
作品は、約1,300度の窯で50~70時間ほど焼いて仕上がります。陶芸の種類によって変わりますが、一般的に陶芸の作品は1,200~1,250度の温度で7~12時間程度焼けば仕上がるため、丹波立杭焼の焼く温度は高く、焼き時間は長いといえます。しかしこの窯の温度と焼き時間が、丹波立杭焼ならではの特徴を生み出します。
焼き上がるまでの間、原料に含まれる鉄分と灰が作品に溶け合って、独特の色と模様が生まれます。この独特の色と模様は炎の状態や灰のかかり具合によって異なるため、毎回同じ色と模様は生まれません。

世界に1つしかない作品が作られるのが、丹波立杭焼といって良いでしょう。

【丹波立杭焼を見られる施設の例】

備前焼(びぜんやき)/岡山県

備前焼は、岡山県備前市で盛んな陶芸です。約1,000年以上の歴史を持ちます。
備前焼では炻器が作られます。作品は、原料の粘土が持つ温かみや素朴な雰囲気を感じられるのが魅力です。

強度が高いことでも知られています。割れにくくデザインも素朴であるため、日常的に使う食器として活用する日本人も多いです。

【備前焼を見られる施設の例】

萩焼(はぎやき)/山口県

萩焼は、山口県萩市で盛んな陶芸です。約400年前に誕生しました。
萩焼では陶器が作られます。代表的な作品は茶碗です。萩焼の茶碗は、飲み物を入れるたびに色合いが変わります。この色合いの変化は、茶碗が焼かれる工程で生まれる細かいひびに、飲み物が染み込むことで生じるものです。

使い込むうちに表情が変わるのは、萩焼ならではの魅力です。

【萩焼を見られる施設の例】

砥部焼(とべやき)/愛媛県

出典:PR TIMES

砥部焼は、愛媛県の砥部町で盛んな陶芸です。
砥部焼では磁器が作られます。作品の特徴は、表面が白く、灰色を帯びているところです。その表面には、一般的に日本を象徴する藍色の装飾が施されます。

上品で柔らかい雰囲気があるため、砥部焼の作品は女性に人気です。

【砥部焼を見られる施設の例】

有田焼・伊万里焼(ありたやき・いまりやき)/佐賀県

有田焼・伊万里焼は、佐賀県の有田町と伊万里市で盛んな陶芸です。約360年の歴史を持っています。
製法が同じ陶芸ですが、地域によって名前が変わります。有田町で作られるのは「有田焼」、伊万里市で作られるのは「伊万里焼」と呼ばれます。九谷焼と並んで、日本人なら誰もが知っているといって良い陶芸といえます。日本人に「日本で有名な陶芸といえば?」と聞くと、有田焼・伊万里焼が必ず挙がるでしょう。
有田焼・伊万里焼では磁器が作られます。作品は表面が白いのが特徴です。その表面には通常、赤や青、緑の模様が入れられます。

日常使いしやすいデザインであること、耐久性が高いことから、日常的に使う食器として使う日本人もいます。

【有田焼・伊万里焼を見られる施設の例】

唐津焼(からつやき)/佐賀県

出典:PR TIMES

唐津焼は、佐賀県唐津市で盛んな陶芸です。約400年の歴史を持ちます。
唐津焼では陶器が作られます。作品は、土を感じさせる深い味わいと素朴な雰囲気があります。

装飾は華やかではないため個性は強くありませんが、その素朴な見た目から食事や花を引き立てる器として日本人に重宝されています。

【唐津焼を見られる施設の例】

小石原焼(こいしわらやき)/福岡県

出典:PR TIMES

小石原焼は、福岡県朝倉郡で盛んな陶芸です。
小石原焼では陶器が作られます。作品には、一般的に幾何学的な模様が施されます。具体的にいうと、点が連なった模様や波の模様などです。こうした模様は、ろくろ(回転式の成形道具)を回しながら模様付けをしていく、小石原焼ならではの模様付けで生まれるものです。

独特な模様ながら落ち着いた雰囲気であるため、日常的に使う食器として愛用する日本人もいます。

【小石原焼を見られる施設の例】

波佐見焼(はさみやき)/長崎県

出典:PR TIMES

波佐見焼は、長崎県東彼杵郡波佐見町で盛んな陶芸です。
波佐見焼で作られるのは、磁器です。作品の表面は、白く透明感があります。この表面には藍色の模様が描かれることが多いですが、その模様は繊細でとても美しいです。

今は、現代の生活スタイルに合うモダンなデザインやスタイリッシュなデザインも登場しています。このため、近年日本では波佐見焼の作品の人気が高まっています。

【波佐見焼を見られる施設の例】

壺屋焼(つぼややき)/沖縄県

壺屋焼は、沖縄県那覇市にある壺屋と呼ばれる地域で盛んな陶芸です。400年以上の歴史を持ちます。
現地では焼き物を意味する「やちむん」とも呼ばれています。日本人に「沖縄で有名な名産品は?」と聞くと、壺屋焼を意味するやちむんと答える人は多いです。
壺屋焼では陶器が作られます。躍動感のある力強い模様があるのが特徴です。この模様は、青や緑、茶色といった沖縄の自然を感じさせる色で描かれています。

沖縄ならではのお土産に最適です。

【壺屋焼を見られる施設の例】

日本の陶芸を体験できる場所

日本の陶芸は、以下の場所で開催されるワークショップで体験できます。日本人はどんなときにその場所で陶芸を体験するのかも説明しているので、ご参考ください。

  • 地域の陶芸博物館や陶芸展示場など
    特定の陶芸を体験したい日本人は、ここへ訪れる。
    その陶芸品の展示を観賞できたり、陶芸品を購入できたりするのも魅力。
  • 陶芸工房
    陶芸職人の指導を受けて、陶芸を体験したい日本人はここへ訪れる。
    陶芸品が造られている現場で陶芸を体験できるのが魅力。
  • 陶芸教室
    陶芸に詳しいインストラクターの指導を受けて、陶芸を体験したい日本人はここへ訪れる。
    陶芸初心者でも体験しやすいのが魅力。

体験できる作業範囲はワークショップによって異なります。素材をこねるところから体験できるワークショップもあれば、用意されている素材に色や柄を付けるところから体験するワークショップもあります。

体験時間の目安は約2時間で、体験料金は1人2,000円前後~6,000円前後です。

体験で作った陶芸品は、その日のうちに持って帰れることはほとんどありません。

通常、完成までに約1~2カ月かかることを念頭に置くと良いでしょう。海外からの観光客の場合、でき上がった陶芸品はワークショップ主催者が郵送してくれることもあります。

なお、陶芸体験のワークショップは予約制であることが多いです。体験したいのであれば、事前に予約の有無を主催者に確認することをおすすめします。

日本の陶芸品を購入できる場所

日本の陶芸品は、以下の場所で買うこともできます。日本人はどんなときにその場所で陶芸品を買うのかも説明しているので、ご参考ください。

  • 地域の陶芸博物館や陶芸展示場などの中にある売店
    その地域で発展している陶芸品を中心に販売されている。
    特定の陶芸品を確実に買いたい日本人は、ここへ訪れる。
  • 陶芸品専門店
    伝統的な陶芸品や陶芸作家オリジナルの陶芸品、幅広い価格帯の陶芸品など様々な種類の陶芸品が多く揃う。
    日本人は普段使いやお土産、プレゼント用など様々なシーンで使う陶芸品を求めて訪れる。
  • 百貨店
    有名な日本陶芸の中でも、最も名が知られている陶芸品を買えることが多い。たとえば、九谷焼や有田焼・伊万里焼などが該当する。
    百貨店では失敗のない陶芸品を買えるため、日本人の多くはプレゼント用の陶芸品を買いたいときに訪れる。
  • 雑貨店
    主にお手頃価格の陶芸品が揃っている。
    普段使いやちょっとしたプレゼントで陶芸品を買いたい日本人が訪れる。

まとめ

日本を代表する陶磁器の芸術「陶芸」は各地域で独自の陶芸が発展しているため、日本へ訪れると様々な種類の陶芸に触れることができます。

ここで紹介した陶芸の中で興味のある陶芸がありましたら、ぜひその陶芸が盛んな地域へ訪れてみてください。

コメント

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP